腰のヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)とは?

腰椎椎間板ヘルニアによるつらい腰痛腰が痛くて整形外科でみてもらったら「腰のヘルニアですね」と言われた、というご経験はありますか?

ヘルニアとは、私たちの体内にある何らかの組織が、本来の居場所から飛び出してしまった状態を言います。へそヘルニア(いわゆる“でべそ”)、鼡径ヘルニアなど、体の部位によっていろいろな種類のヘルニアがあります。

では、「腰のヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)」とは何が飛び出した状態なのでしょうか?答えは、腰椎(背骨の腰の部分)の間にはさまっている円板状のクッションです。この飛び出したクッションが神経を圧迫すると、腰痛や脚のしびれなどの症状が出るのです。

腰痛や脚のしびれを引き起こす、腰椎椎間板ヘルニア

通常、椎間板は背骨と背骨の間に収まっていますが、それが外に飛び出してしまった状態が腰椎椎間板ヘルニアです。飛び出した椎間板(写真では赤くなっている所)が神経を圧迫して痛みやしびれが生じます。

さらに詳しく

私たち人間の背骨は一本の骨ではなく、「椎骨(ついこつ)」と呼ばれる小さい骨が縦に33個積み重なることで形作られています。首に7個、胸の高さに12個、腰に5個、残りは仙骨と尾骨(仙骨と尾骨はもともと複数あった骨がくっついたものです)です。

そのひとつひとつの骨の間に、コラーゲンを主成分とする円板がはさまっています。円板の名前は「椎間板(ついかんばん)」。椎骨と椎骨の間で衝撃をやわらげたり、背骨がしなやかに動くためのクッションの役割を果たしています。

一方、椎骨の後ろ半分には穴があいていて、33個の穴が積み重なって一本のパイプのようになっています。パイプの名前は「脊柱管」。脊柱管の中には「脊髄(せきずい)」が入っています。

脊髄は、脳から伸びて来たおびただしい数の神経が、束になったロープのようなイメージです。その太いロープが脊柱管を下行する途中で、何本もの神経が枝分かれして、積み重なった椎骨と椎骨の間にある穴から外に出てきます。外に出てきた神経は、筋肉につながってその筋肉を動かしたり、皮ふにつながって皮ふが感じ取った感覚を脳に伝えたりしています。

本来は椎骨と椎骨の間にキレイに収まっているはずの椎間板が、飛び出して来てヘルニアの状態になると、穴から外に出てくるところで神経を押しつぶしてしまいます。すると、神経の連絡がうまくいかず、痛みやしびれが発生するのです。

背骨の中でも腰の部分では、脊髄から枝分かれした神経は、主に腰、お尻、脚とつながっています。ですから、腰椎椎間板ヘルニアが発生すると、腰、お尻、脚に痛みやしびれが発生してしまうのです。

腰のヘルニアになると、どんな症状が出るの?

腰の痛みだけでなく、脚に強いしびれや痛みが発生します。痛みやしびれが強くて、夜眠れないこともあるほどです。かなりつらい症状ではありますが、ずっと続くわけではなく、多くのケースでは数週間でだんだんと和らいで来ます。

腰のヘルニアでは脚に放散痛が出たり、すねがしびれるなどの症状が出ます

5つある腰椎のどこにヘルニアが発生するかによって、症状が出る場所も異なります。

通常はしびれや痛みが出るのは左右どちらか片脚だけですが、まれに両脚ともに症状が出ることもあります。その場合は、腰痛や脚の症状にとどまらず、尿もれや便秘など、排泄の障害が出ることもあります。

自分がヘルニアかどうか、確認するには?

整形外科を受診されると、医師の判断のもとにX線(レントゲン)やMRIの検査が実施されることになるでしょう。腰椎とクッション(椎間板)の状態を画像で確認し、腰椎椎間板ヘルニアかどうかの診断が下されます。

強い痛みやしびれを抑えるための痛み止めや、腰を支えるコルセットが処方され、日常生活や睡眠が症状が軽減するまでの期間はできる限り安静にするように指示があるでしょう。また、痛みが非常に強かったり、数ヶ月経っても改善されない場合は手術が検討されることもあります。

一方、当院のような整骨院では、ヘルニアの可能性があるかどうかを「徒手検査」とよばれる手法で確認します。ヘルニアが疑われる場合でまだ病院にかかられていない場合は、最終診断のために整形外科の受診をおすすめします。ご紹介状のご用意も可能です。

薬や湿布で改善されない場合は、どうすればよいの?

手術をするほどではないが、痛みやしびれがよくならない場合もあります。薬や湿布を使って様子をみているが、あまり変化がなかったり、症状が繰り返し出る場合です。

そのような場合は、筋肉や筋膜が原因となって症状が出ている可能性も考慮する必要があります。筋肉や筋膜が硬くなることで、痛みやしびれが発生することも少なくありません。

筋肉や筋膜が原因の場合は、手技療法(もみ療法、整体術)で改善が期待できます。施術者の手を使って、腰、おしり、脚、お腹、背中などの筋肉と筋膜をていねいにもみほぐすことで、神経や血管の流れが正常にもどり、本来のお体の状態を取り戻すことができます。

*参考*

日本脊椎外科学会
日本整形外科学会